2011年12月11日

子どもの医療を考える会(松戸)

昨日の松戸での講演会レポートをあげます。
(まとまっていませんが、ご勘弁を)

松戸1.jpg

** 注 ** ショックを受けませんよう。
  
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原子力災害における放射線被曝の長期的課題
−チェルノブイリ原発事故医療支援の経験を通して
                松本市長 菅谷 昭
 
<菅谷 昭さん プロフィール>
25年前のチェルノブイリ原発のあとのベラルーシに渡り
5年半、小児甲状腺がんの医療支援(手術の執刀と若手医師の
指導)を行っていたお医者様。
その後も、放射性物質が子どもに及ぼす影響を現在に至るまで
−現在もベラルーシに行っているようです。
 
NPO法人チェルノブイリ医療基金理事長
フランシスコ・スカリナー勲章
   (ベラルーシ共和国 国家最高勲章)

2004年3月14日 松本市長選に初当選。
2004年3月28日 松本市長に就任。
2008年3月16日 松本市長選に再選。2期目を迎える。

政策
3Kプラン(健康づくり・危機管理・子育て支援)を軸に
市民主体のまちづくりを掲げる。

・・・・ 講演会内容 ・・・・

((1)講演会を始めるにあたって。。。)

チェルノブイリ原発事故があったあとに、現地で活動を行ってきた。
その活動内容を講演してきた。日本でも原発事故の可能性はあると
言ってきたが、まさか日本でという思いはあった。

今回の原発事故では政府に対して一人でいろいろ助言しているが、
あまり政府には伝わっていない。今回の事故では、政府の
「危機管理能力」のなさが露呈していた。例えば、事故直後、
アメリカ、ドイツ、フランスではすぐに自国民を
避難させるだけでなく大使館まで西に移した国まであり、
核災害に対して真剣に向きあっていたが、日本政府は何もせず、
「後だしじゃんけん」のように、今になって多くの情報が
でてくる。
「一番愚かだったのは日本人。」
 
これは、原発に対して、危機意識の甘さや過小評価があげられる。
例えば先日話題になった「粉ミルク」の問題だって、本来ならば
政府がチェックして、国民に情報を出すものだが、市民の調査で
見つかった。このようなことが続いているから、国家、原子力
安全保安院に対する不信が続く。

最悪のことを考えて、先々に対して手を打つ。
内部被曝が一番問題だと考えていたもの。

(2) スライド
ベラルーシ、ウクライナ 豊かな穀倉地帯の写真
ここでの暮らしは。
天地の恵みにより、一生を終えていく。
 
・・・実はここには住めない。
 自然災害と原子力災害(全く違う)
 
チェルノブイリ、10年後
事故後 30Km 25年くらい住めない。
この景色のところには入れない。
除染してもお金がかかるので。そのままになっている。

・・・福島では70%は森なのでムリだろう。
 
爆発したチェルノブイリ原発の前で普段着(軽装)で記念写真。

・・・ 何も知らなかった。ご自分の無防備な姿。

事故後3日目のヨウ素の汚染マップ

・・・日本政府も同じような汚染マップを持っているだろうが
 いまだに公表しない。なぜだ?

 放射性ヨウ素・・甲状腺に影響

 そもそもヨウ素は
  ワカメ/昆布 ==>ヨード
          ==> 80%が甲状腺に取り込まれる。
             (甲状腺ホルモンができる。)

 しかし、普通のヨードと放射性ヨウ素 区別できない

 放射性ヨウ素はガンマー線、ベーター線を出す。
 そして、放射線が細胞核にあるDNAを破壊する。

 その結果・・甲状腺がん
 甲状腺がんは非常に珍しい ほとんどない
 100万人に1-2人(ベラルーシで)

 しかし、ベラルーシでの患者数が・・・

 1986年  2人  1987年  4人 1988年  5人
 1989年  7人  1990年 26人 1991年 55人
 1992年 68人  1993年 79人 1994年 82人
 1995年 90人  1996年 84人 1997年 66人
 1998年 54人
          ・・・となっている。

 たしかに「原発事故」当時の枝野幹事長 
 「ただちに影響はしない。」・・・間違っていない。
     <・・しかし、これは「外部被曝」について
 
 しかし、内部被曝については・・あとになってでてくる。
(チェルノブイリ原発事故の甲状腺ガンの発生状況を
 みてもわかる。)
 
 日本国で何もないことを祈っている。

 次のスライド。。。
 10年経ったときのセシウムの土壌沈着の地図。
 ・・汚染が残り続けることがわかるもの。

 チェルノブイリ事故直後の「ポーランド政府の対応」は
 素晴らしかった。

4/26 午前1時23分 空間線量が高くなっていることに
  気がつく。(原発事故の報告なし。)
 27夜 大気汚染が進み、放射性ヨウ素に原因があることが判明。
 28 午前10時ポーランド全土で大気、土壌、水の汚染を確認
 同日 ソ連 タス通信により事故の発表
 29 (事故から4日目)新生児15mg、他国民にヨード剤を配布。
 ・・・妊娠中、授乳中の女性には強制ではないが、摂取を呼びかけ。
5/2  1千万人以上の子ども(小児人口90%以上)と700万人以上の
   成人(25%)にヨード剤を配布完了。
5/5  乳牛に新鮮な牧草を与えるのを禁止
   4歳以下の子どもには原則として粉ミルクを飲ませる。
  (不足の粉ミルクはオランダより輸入)

チェルノブイリ10年目の地図を提示
原発から、30k・100k・200k・300k・400kの距離の同心円
25年経っても住めないエリアは1500Bq/Kgの土壌
 
今の、福島、二本松、郡山は?
(厳しいでしょうとスライドを見せられながら思う)
 
文部科学省が提示した、8月セシウム137汚染マップ
 
赤 3000Bq/Kg /黄 1000Bq/Kg /緑  600Bq/Kg 
 基準が甘くないか?

ニュースとなった「セシウム入り米」
二本松の土壌を考えるとあたり前。

低線量被爆地で何が起きているのか?
事実を話している。あとは皆様が判断すること。

(3)レジメを使った説明
* 放射線被曝について(被曝と健康被害)
  外部被曝:X線撮影、CTスキャンなど
        →線量と効果(影響)が比例する。

  外部被曝を避けるには・・・
   @ 距離
   A 時間
   B 遮蔽(鉛などによる)
             ・・・自分で防御する。

  内部被曝(体内被曝):侵入3経路
    内部被曝の自己管理が必要。
    取り込むことに注意する。

  @ マスクをする。ぬれたタオル
  A 皮膚 怪我をした場合 転ばない、遊ばない。
    手袋、手で洗う、長袖、雨にぬれた。
  B 経口
        →実態の解明不十分、将来にわたる不安
 
 空気中のチリに含まれる放射性物質
  空気>>鼻>>器官>>血管>>臓器 で入り込む。
 
 お母さんが注意して、取り込まないようにする必要あり。
 (母乳から子へいくので取り込まないよう注意。
  とにかく、経路をブロックする)

 正直、内部被曝の影響はわかっていない。
 甲状腺がんはわかっているが。

* 放射線感受性:
   同一線量の放射線に対する異なった反応(影響・効果)
  −哺乳類としてのヒト、犬、豚などの種により放射線に
  関する影響(感受性)は異なってくるし、また人間でも
  胎児、乳幼児、学童、青少年など成長にあたって
  細胞分裂が行われている世代への影響はあり、小さいほど
  影響を受けるのは必然。
 
* 放射性セシウム(137CS)による土壌汚染
−セシウムの影響はわかっていない。
今後どうなるか? 大丈夫か?心配なものか? 
   わからない。

* 今、チェルノブイリ事故後の低濃度汚染地では何が!
  −避難した人には・・・ 
   政府は戻す方に力を入れるがまず汚染除去をするべき。
   それまでは避難してください、汚染が除去されたのが
   確認されたら、住んでいた皆さん、安全だから
   どうぞお帰りください。。。
  −40歳以上は大丈夫。高齢になれば戻っても大丈夫。
   ただ、一つの大きな問題は戻って何をする。
   「農業、林業、牧畜行は継続できないだろう。」:
   深刻に考えていないようだが、考えるべき。

 ・小児における免疫機能低下や貧血。易疲労性等の出現
  −子どもはもともと元気なもので「疲れやすい」というのは
  明らかな体力の衰え。

  −何が問題となってくるか。ガンではない。
   風邪をひくと長引く。直らない。
   子どもたちの体力が落ちてきている。

 ・周産期医療への影響:早産・未熟児の増加
 (胎児の子宮内発育の遅延による低出生体重児や先天性異常)
 −現在、設立した基金で汚染地の医者を呼んで研修して
  もらっている
  今、甲状腺ガンではなく、周産期医療に力をいれている。
  早産や未熟児がふえていて、発育が悪く先天性異常が出ている。
 −日本ではありえない話がある。
  今、ベラルーシでは妊娠中のチェックが厳しい。
  出生前診断で、異常がわかった子どもは、
  半強制的な妊娠中絶が行われる。
 −日本でも同じような事象が。
  福島の産婦人科委から相談がある
  おじいちゃんたちにこの時期の子どもはいらないといわれ
  中絶している。

 ・セシウム等による体内蓄積の問題
 −研修にきている女医さんが、長崎県立こども病院で
  「ホールボディカウンター」を受けた。
  自分は大丈夫だと思っていたが結果は「高かった。」
  ショックを受けた
  汚染地に住んでいる限りは豚や牛などを食べて生活している
  豚や牛・鳥はここで汚染されたものを食べているから
  食物連鎖を考えると当然か?
  
  排泄はされるが汚染地にすんでる限りは、繰り返されるので
  蓄積される。
  放射線は痛くも痒くもない。
  核災害・原子力災害は線量計を見て初めて如何に数値が高く
  怖いかということがわかる。

  チェルノブイリでは日常生活を規則正しくし、栄養バランス
 (ビタミンやミネラル、鉄分)をとることで対症療法だが
  やるしかない。
  繊維質のものを食べて、排泄することはとても大切。

 ・長期低線量被曝の影響

* 自治体(市町村・県・国)による長期的対策
 ・除染対策
 ・長期疫学調査の実施:
     大気・土壌・食品・水質等の汚染調査と公表
 ・長期健康追跡調査
 ・学童等に対する集団移住等の検討
  −経済的事情により、避難できる、
  避難できないなどというのは差別であり、
  国策として実施すべきである。
  −子どもたちを縛っておけないので、子どもたちは
  当然あちこちに遊びに行く。→土埃があがる。気道に
  入る。子どもをきれいなところに移住させ、体力が
  回復したらまた戻ればいい。
  −親は切ないかもしれないが、将来の日本を
  支える子供たちのために。携帯電話もっているでしょ?

 ・松本市の学校給食対応
  −第一義的に考えているのは
    「市として、子どもたちの命を守る。」
 
* 国民的意識の醸成
 (1)「日本は汚染国となってしまった」という現実を、
  真正面から受け入れる姿勢を持って、相互に支えあう
  べきである。
  −学校給食は理想としては西日本のものを使いたいが、
  汚染された食品をとらねばならないとした場合には
  基準値をさだめるべき。
 (2)”こどもと妊産婦の命を守ろう”
 (3)放射線汚染による健康被害は、自ら注意して
  対応する他はない!


(4)Q&A
 Q:甲状腺線種をもっているが、さらに取り込みやすいのか?
   ガンになるか?
 A: 線種からガンになることはまずないので大丈夫
   取り込みやすいかはわからない。

 Q:汚染された土壌にきれいな雨が降って地下に浸透すれば、
   地表面の線量は下がるのでは?
 A:粘土質なら取り込む。空中線量よりBq/uで出すこと。

松戸2.jpg

 会場いっぱいの方がお見えになりました。

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posted by ぐんじとしのり at 23:58 | TrackBack(0) | 放射線問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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