出席してきました。
「生活保護 連続学習会」
〜扶養義務ってなに? 強化されるとどうなる?〜
講師 NPO法人自立生活サポートセンター・もやい
代表理事 稲葉 剛 氏
http://www.moyai.net/
生活保護受給問題で、お笑い芸人次長課長の河本準一氏
が釈明会見を開いてから間もなく3カ月になります。
生活保護受給による財政負担が国や自治体を圧迫して
いると言う報道がされていますが、本当なんでしょうか。
そもそも、今回ニュースとなった「高額所得者の子ども
と生活困窮者の親」という組み合わせは世間一般的に考えて
ありえるものでしょうか?
この件については、ある国会議員が暴露し、マスコミは
こぞって生活保護バッシングを始め、大騒ぎとなり、このことを
発端に小宮山洋子厚生労働相は、扶養義務の運用厳格化の
考えを表明しました。
私自身、非常に違和感を感じていました。
扶養義務を強化することは私たちに何をもたらすのでしょうか?
現在の生活保護受給の現状や、扶養義務強化の問題点、そして
今後の社会保障のあり方について、生活困窮者の自立支援を
サポートしてきたNPO法人もやいの代表理事の話が聞ける」と
あって、お誘いの勉強会に出席しました。
※ 講師の所属するNPOの窓口には、年間800人を超える
方々が相談に来るが、その3割が30台以下の若年層であり、
多くの場合、彼ら彼女達の親も生活に困窮しているという実態が
ある。(困窮していないのに戻れないケースは、虐待が絡む。)
※ 「階層の固定化」という課題があるなかで、貧困家庭の
出身者が「高額所得者」になる道はかなり限定される。
(数少ない選択肢が「芸能人になる」というもの。昔は
スポーツでという選択肢があったかもしれないが、今は難しい。
オリンピックをみればわかる。子どものころからの英才教育。)
※ 厚労省は「貧困の連鎖防止」を目指しているが、高校への
進学率でさえ、80%(通常90%以上)であり、大学進学の道は
事実上閉ざされている。
※ 親族の扶養義務が強化されれば、子ども達は独立した後も
親の扶養という重荷を背負うことになる。(子ども達が巣立った
あと、高齢になった親達が生活保護から抜ける可能性は非常に低い。
※ 「裕福な家庭に育ったこどもには免除される義務が、
生活保護世帯の子ども達には親がなくなるまで課せられる。」
このような社会を公平といえるのか?
= 扶養義務強化をさけぶ自民党議員の多くは2世議員です。
「ぜったいにありえない。」
※ これまでも、福祉事務所の窓口で「家族に養ってもらえ」等と
言われ、申請できず、餓死や孤立死に至ってしまったケースが
何例もあり、扶養義務を強化すれば、確実にこうした
「水際作戦」(生活保護の申請権侵害)が増加するおそれがある。
「働ける人は保護の対象外」
・・・働けるという意味は何か?
「家族に養ってもらえ」
・・・「福祉が人を殺すとき」 人の尊厳とは何か?
「住まいを作ってからきてください」(「施設入所が前提」)
・・・ 習志野市への申し入れ
>> 千葉県は「最低レベル」
※ DV被害者や親族から虐待を受けた経験のある人は、
ただでさえ家族に扶養照会されることを恐れているのに、
扶養義務が強化されれば、さらに申請にあたっての
心理的なハードルが上がり、生活保護制度にアクセスしにくくなる。
※ 不正受給の総額は生活保護費のうち0.4%未満に過ぎない。
一方、生活保護の捕捉率(受給要件のある人のうち実際に
受給している人の割合)は2〜3割にとどまっている。
国がするべきことは捕捉率を上げ、生活困窮による餓死・孤立死を
根絶することであり、扶養義務強化の動きはこれに逆行している。
(テレビや週刊誌の報道を見ていると、いかにも「不正受給」して
いる人が多そうなイメージを植えつけられますが、
実際は全体からすれば1%にも満たないということです。
親族による扶養義務を強化しようという流れは、これまで
家族が抱えてきた問題を社会全体で共有して生活困窮者への
支援を進めていこうとしてきたこれまでの流れに逆行しています。
生活保護をバッシングすることで、本来生活保護を受給すべき
だった人が躊躇し、助かるはずだった命が助からなくなって
しまっては、何のための報道でしょうか。)
※ 施しではなく、権利としての社会保障を
「生活に困った時に生活保護制度を利用することは、
憲法に保障された生存権の当然の行使であって、決して
恥ずかしいことではない」。
※ 今は生活保護と縁がなくても、誰でも何かのきっかけで
支援を必要とする時が来る可能性はあります。
今はまず何より、生活保護について、正しい認識を持つことが
大切ではないのでしょうか。
翻って、千葉県印西市。
私自身ももう一度、印西市の内情をしらべてみたいと思います。
最後に・・・
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 稲葉理事長。
こういう人たちがいるから、この国には希望がある。
間違いありません。
次回の学習会にも参加します。
== 放射能/放射線対策について ==
興味深い記事を見つけました。
* 長崎原爆目撃で心理的被ばく 半世紀後でも
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2012/08/post-6419.html
1945年8月9日の長崎原爆で、健康被害が出るほどの
放射線被ばくはないと国がしている地域で原爆を目撃した人の
多くは、半世紀を経ても精神疾患の危険性が高いとの調査
結果を、国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)の
チームが8日までにまとめた。
目に見えない放射性物質への不安による“心理的被ばく”と
位置付け、その状態が長期間続く現状を示した。
東京電力福島第1原発事故では低線量被ばくによる健康被害が
懸念されているが、たとえ被ばくがないとしても手厚い心のケアが
求められそうだ。
原爆と精神疾患をめぐっては、国が定めた被爆地域外にいた
「被爆体験者」に対して「被爆体験による精神疾患」を
認めているが、チームによると、心理的被ばくに着目した
研究は少ないという。
チームは、うつ病など心に問題を抱える傾向があるか
どうかを調べる目的で01年に長崎県で実施した調査を
あらためて検証した。調査対象は長崎市内の爆心地から
半径12キロ圏内に住み、爆音や光を経験したものの、
放射線による身体への健康被害はなかったとされる地域の約350人。
「いらいらして怒りっぽいか」といった質問への回答から、
精神疾患の危険性が高い人は約75%に上ると判明した。
(共同通信社 2012年8月 8日)
・・・> 国は「知らない」で済ませるべき問題でないと思います。
ぐんじとしのり
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